二級ダム(黒瀬川堰堤)  ▲戻る


二級ダム
二級ダム

撮影機材 キヤノン製一眼レフカメラ EOS7 EF28−105USM

 二級ダムです・・黒ずんだ御堤体に圧倒され、しばらく身動きできませんでした。最近できたダムはスマートなダムが多いけど、二級ダムはお世辞にもスマートじゃない・・柱のサイズも微妙にそろっていないし・・・でも、よく見ると、ゲートとゲートの間の柱はゲートを動かす装置を入れた小屋を乗せる構造になっているなど、質実剛健とも言える。
 この二級ダムのデザイン、ローラーゲートを使う県内の他のダムにも共通するものがあります。柴木川ダム、滝山ダム、渡ノ瀬ダムなどがそうです・・ゲートを動かす小屋が堤体の前にあり、支柱が上につきだすカタチになっている。同じローラーゲートを使うダムでも備後地方にある三川ダムは違う構造になっているが・・

 二級ダムは昭和18年竣工、広島県初の多目的ダムです。黒瀬川の流量調整、発電、工業用水などに利用されています・・実はいくつか別名があったようです。ダム本体には黒瀬川堰堤と書いてありますが、呉市の歴史を書いた本には、県営郷原(ごうばら)ダムという名称が出てきます、完成当時はここは呉市ではなく、郷原村だったんです。また、もっとすごい名前も・・県営河川水統制郷原貯水池という名前も出てきます。

 二級峡での発電は二級ダムができる前から行われており、明治32年に広の大滝の落差を利用した水力発電所が設置されたと記録されています。当時はペルトン水車により3台の発電機を回し750KWの出力があったそうです。なお、このとき貯水池が造成されたとの記録があり、二級ダムができる前から、すでに堰のような物が存在したようです。
 発電所の完成により、発電所から呉市内までの8.8Kmと呉市内から広島市までの25.7Kmを11KVの送電線で送電が行われ、日本最初の高圧・長距離送電だったそうです。

 ※ なお、この写真の撮影場所は甌穴橋から歩いていけば容易に行けますが・・段差が大きく、石がすべりやすいこと、通る場所を間違えると甌穴に落ちる危険があるので、行く場合は、それなりの装備と細心の注意で行ってください。下手をしたら、転落事故、あるいは荷物の水没、撮影機材破損といったことはありえます。あくまで自己責任でお願いします。


二級ダム・貯水池側から見る
貯水池側から見た二級ダム

撮影機材 キヤノン製デジタルカメラ パワーショットS30

 ローラーゲートが4門並んでいます。中部地方などにある、ローラーゲートを引き上げる柱が桁でつながっている「でんぱつ」系のダムと違い、ローラーゲートを引き上げるための柱だけが突き出ています。これは広島県内のローラーゲートを使うダムに多いカタチです。


二級ダム・減勢池を見る
減勢池を見る

撮影機材 キヤノン製デジタルカメラ パワーショットS30

 天端(てんば(ダムのてっぺん))から下をのぞき込みました。減勢工は減勢池だけで、副ダムはありません。なお、二級ダムは貯水量が100万トン程度の小さなダムのため、強い雨のあとにはよく放流しています。放流されているときに二級峡を散策される場合は、危険ですので気を付けてください。

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