パソコン・レーシング

第13話


耐久レースは夜に突入した。「デジタル・マジック・チーム」のブイタウンズは、大きなトラブルもなく順調に稼働していた。もともと観客の少ない予選だが、夜になり客席は閑散としている。静かな空間に、CPU冷却ファンの音とハードディスク回転音が唸る。
それは小さい音だが、ミキとサトルはレース場を走るレーシングカーのエンジン音を思い浮かべた。そう、静かだけど、激しいバトルが行われているのだ。

ジャンク屋「ミキ、サトル、もう夜中だ、控え室に戻って寝なさい」
ミキ   「徹夜する!・・ミキの作ったプログラムも入っているのよ、それがトラブルを起こしたら、ミキがいないと困るでしょ」
ヤスオ  「大丈夫だ、俺たちが何とかする・・安心しなさい」
マサヒロ 「そうだ、予選が終わったら、次の日は学校だろ・・サトルも寝なさい」

サトルとミキは控え室へ行った。

ヤスオ  「今は、3位だが、このままの順位をキープする方がいいのだろうか?」
ジャンク屋「それがいいだろう、3位なら決勝へ行ける、それに、お前らがベースクロックを勝手に上げているからな、無理はさせたくないよ」
マサヒロ 「午前0時現在753処理ユニットだ、しかし4位のチームがじわじわ追い上げているのが不気味だ、最初よりかなりペースアップしている」
ジャンク屋「4位のチームは743処理ユニットか・・・しかし、まだ10ユニット分リードしている」
マサヒロ 「10ユニット程度では、後ろにぴったり付いているのと同じだ」
ヤスオ  「1位が802ユニット2位が775ユニット・・・」
マサヒロ 「逆に、2位に追いつくのはペースを上げないと無理だ」
ジャンク屋「それじゃ、ペースを上げるのか?」
ヤスオ  「現在行っているより、重い処理を選んで、ユニット数を稼ぐしかない」
マサヒロ 「現在のCPU稼働率は90%に達している、余裕は少ない、やはり210MHzの限界か・・・」
ヤスオ  「仕方ない、他のマシンの多数はは500MHzなんだから」
ジャンク屋「いや、このマシンだけが余裕がないわけではない。サトルが偵察した様子では、他は95%以上の稼働率だ・・」
マサヒロ 「それじゃ、ちょっと賭に出るか」

マサヒロは、今までよりユニット数が稼げる重い処理を中心に処理を始めた・・・・
・・・・続く


第14話

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