パソコン・レーシング

第15話


エフマップは、4位をキープする戦術を選ぶしかなかった。消極的だが、クロックアップしたCPUがかなり発熱しているようだし、これ以上重い処理はできないのだ。

エフマップ「ヤスオさん、マサヒロさん・・仮眠してください・・徹夜の機械の操作はよくない」
ヤスオ  「分かりました、エフマップさんにまかせます」
マサヒロ 「何かあったら、すぐに起こしに来てください」

ヤスオとマサヒロも控え室へ行った・・エフマップ一人でマシンを操作(運転)することになった。

エフマップ「こんなことになるなら、180MHzのCPUをクロックアップして210MHzにせずに、最初からK6あたりを使ってクロックアップ無しの400MHzくらいにしておけばよかった・・・ジャンクのおやじが、300以上じゃ安定させるのが難しいと言っていたが・・」

エフマップもいろいろ考えて処理の順序を変更した・・しかし、一向に3位との差は縮まらない。それに、期待したほど上位グループのマシンが不安定になる様子もなかった。
時刻は、午前4時をすぎた・・1200処理ユニットは突破したが、5位のチームがじわじわ迫ってきた。さすがのエフマップもあせってきた。そう、エフマップの最近の耐久レースの成績は5位か6位のことが多かったのだ・・
それに、5位のチームのシステムはUNIXらしいのだ・・普通のOSより動作は軽いし、システムダウンもめったにない・・・ マシンの余裕がかなりあって、ペースアップの時期を探っているだろうということは容易に想像できる。

エフマップ「この青い小さなバーメーターはサトルが作ったらしいが、CPUの負荷表示か?・・それにしては、常に半分くらいある・・まあ、ダウンしない限り止めないでと言っていたから、そのままにしておくか・・・」

エフマップはふと控え室の方を見た・・ミキがドアの前に立っていた・・

エフマップ「どうした、まだ起きる時刻じゃないぞ」
ミキ   「あまりよく眠れないの・・うまく行っているの?」
エフマップ「・・・・ああ・・何とかなるよ」
ミキ   「嘘でしょ・・いつものおじさんと表情がちがうよ」
エフマップ「・・・・・・」
ミキ   「おじさん・・どうして、そんなに重い処理ばかりしているの?」
エフマップ「今4位・・5位に追い越されそうなんだ・・可能な限り処理ユニットを稼ぎたいのだ」
ミキ   「それは、裏目に出るわ・・」
エフマップ「どうして・・」
ミキ   「それは・・・」
・・・・続く


第16話

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